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麗しのイタリア古典歌曲:D.スカルラッティ作曲 恋する蝶のように

「恋する蝶のように(Qual farfalletta amante)」は ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)作曲です。

ドメニコはナポリ出身の作曲家で、父は同じく作曲家のアレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725)。なお、奇しくもドメニコの生年と同年にバッハとヘンデルが生まれています。シンクロニシティというものでしょうか。本当に不思議です。

ドメニコは、恐らく父の許で初期の音楽教育を受け、1701年には早くもナポリの王立教会の作曲家・オルガニストに指名されました。1704年にはベネチア、そして1709年にはローマへと居を移しています。その頃にはチェンバリストとして名を馳せていて、ローマの枢機卿邸にてヘンデルチェンバロとオルガンの腕比べを行ったとのエピソードが伝わっていますが、真偽のほどはわからないようです。でも、当時の状況として、さもありなんということでしょう。

1719年にはリスボンに移り、ポルトガル王家に仕え、1727年には一旦ローマに戻り、1729年にはセビリアに移り、1733年からはマドリッドにてスペイン王家に仕えましたが、その地で没しました。

この作品の軽快で細やかなメロディは、歌詞どおり(小さな)蝶(farfalletta)が飛び回るようで、恋心が踊っている様を彷彿とさせます。

恋する蝶のように、
我はあの炎へと飛ぶ、
そは胸の内にて我が心を燃やし、
そして我は死なず、否、あぁ、否!

そなたの麗しい俤(おもかげ)は、
我が内に熱情が募るなら、
悩むこの心に、
憩いを与えよう、そうとも。

Qual farfalletta amante,
Io volo a quella fiamma,
Che in petto il cor m'infiamma,
E morte non mi da, no, ah no!

Il vago tuo sembiante,
se accresce in me l'ardore,
a quest'afflitto core,
ristoro pur darà, sì.

参考 Sumi Joの軽い感じが曲想に良く合っているように思います。